Konatsu Seki

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MCD AI Studioってなに?-生成AIを活用した企業の業務変革と新規事業創出支援-

2023年6月1日に設立された「MCD AI Studio」は、生成AIを活用した企業の業務変革及び新規事業創出支援を行う組織です。 では、実際にどういった背景から設立され、具体的にはどんなことをしているのか?わざわざ研究所として立ち上がった理由など、気になる点について解説していきます!

MCD AI Studioについて、今回は本スタジオの所長でもある鹿野さんにお話を伺いました。

目次

  1. 生成AIの力を活用する MCD AI Studio の使命
    ―MCD AI Studioが設立された背景
    ―MCD AI Studioの使命とは

  2. 生成AI:その基本と応用分野
    ―そもそも生成AIとは
    ―生成AIの応用分野やそれを使った技術の事例

  3. MCD AI Studioの特徴|幅広い産業知見と技術力によるカスタムソリューションの提供
    ―MCD AI Studioの具体的な取り組み
    ―「Tachyon生成AI」について

  4. MCD AI Studio がもたらす価値
    ―MCDのAI Studioだから実現できること
    ―大事なのは長く継続的に使われること

  5. まとめ|MCD AI Studioの役割と将来展望

1. 生成AIの力を活用する MCD AI Studio の使命

―MCD AI Studioが設立された背景

昨今の生成AIへの注目度はより一層高まっており、中でもチャットAI「ChatGPT」の登場はデジタル界隈に大きな衝撃が走りました。 それは個人利用だけにとどまらず、企業や自治体など様々な組織が活用の方針を検討して打ち出しています。 また、ボストン・コンサルティング・グループは生成AIの市場規模が2027年に世界で1210億ドル(約17兆円)に達する可能性があると予測しています。

引用:日本経済新聞WEB版

生成AIの活用は、企業の業務効率化を促進し、さらには新しいアイデアや発想を生み出すきっかけにもなりうる可能性があります。

私たちエムシーデジタル(以下MCD)はこのような社会の動きを捉え、テクノロジーをもって課題を解決するプロフェッショナルとして、生成AIに特化した研究・支援を行うMCD AI Studioを立ち上げることにしました。

―MCD AI Studioの使命とは

MCD AI Studio(以下AI Studio)は、最先端の生成AI技術を核に、多岐に渡る産業の業務変革と新しいビジネススタンダードの構築を目指す組織です。先端AI技術の持つポテンシャルを業種を問わず展開し、ビジネスの革新を追求する役割を担っています。

鹿野さん「たしかに、生成AIの活用によって業務の効率化は可能ですが、単純な技術の適用だけではビジネスへの本質的なインパクトを生み出せるわけではありません。そのため、AI Studioでは、最適なビジネスプロセスのデザインと既存オペレーションの変革に焦点を当てたアプローチを採用しています」

―『Studio』という名前にも意味が込められているんだとか。
「はい、三菱商事の幅広い事業領域と深い産業知識を武器に、ベストプラクティスが確立されていない領域において、理想的なビジネスデザインを探求し新しいスタンダードを提案する姿勢を『Studio』という名前に込めています」

MCD AI Studio所長の鹿野さん

2. 生成AI:その基本と応用分野

―そもそも生成AIとは

生成AI(Generative AI)とは、画像やテキストなどのコンテンツを生成する技術の総称で、機械学習における一つの分野として位置付けられています。 生成AIは、大量のデータから傾向やパターンを学習し、新たなコンテンツを生成できるように訓練されています。

例えば、テキスト生成AIは、プロンプトとして新しいテーマやルールを与えることで、新しい文章を生み出すことが可能です。画像生成AIは、ある画像やテキストをベースに新しいクリエイティブな作品を作り出すことができます。音声生成AIは、実在の声を模倣して新しい音声を生成できることもあります。

生成AIは、クリエイティブなプロジェクト、データ拡張、コンテンツ生成、自動化など、多岐にわたる分野で利用されています。

要するに、生成AIはデータとルールに基づいて新しいコンテンツを自動生成する技術です。この技術により、新たなアイデア、コンテンツ、製品、サービスを効率的に生み出すことが可能になり、多くの分野や企業で革新的なアプリケーションが開発されています。

実は、「生成AI」自体は古くから研究されているテーマであり、ここ数年で急激に一般社会に浸透し始めています。 今回のブレイクスルーの要因は、コンピュータそのものの進化とデータ基盤の進歩によって膨大な計算資源とデータを学習に活用することが現実的な時間で可能になったことだと考えられています。 実際に LLM の学習に活用されているコアな手法 「next token prediction」 は、とてもシンプルです。

生成AIの面白いところは、汎用性が高く様々なタスクを解けるものの、ビジネス活用を見据えた際には改善の余地が多く残されている点です。従来の技術を組み合わせながら、ビジネス要件に合わせた個別のタスクに関する性能を評価し改善することが極めて重要なため、データサイエンスとエンジニアリング双方の知恵を駆使する必要があります。

このようにビジネスにおいてはより一層の活用の余地があったり、コスト面でもまだまだ課題があったりするので、今後もさらなる進化や広がりが期待できます。

―生成AIの応用分野やそれを使った技術の事例

生成AIは、様々な業界・分野で活用が期待されています。

例えば、クリエイティブ分野で言えば、テキストからグラフィックデザインを生成する生成AIツールが多く登場しています。その性能はかなり高くなっており、デザイナーの業務効率化、アイディア出しに貢献をしていると言えるでしょう。

引用:Adobe Firefly公式サイト

マーケティング分野においても、生成AIは非常に貢献度が高いです。特に仮説立てやシナリオの組み立てが得意なので、キーワードや設計していくうえで必要な情報を読み込ませることで、戦略立てやコンセプト設計を実行してくれます。 (もちろん、そのまま使うということではなく検討するベースの材料として取り扱うことを推奨します) 他にもリサーチ段階の情報収集でも、AIが補助をしてくれます。

そして、医療分野においても生成AIは、例えば創薬にかかる長大な時間とコストの削減、治験報告書の作成時間の削減、カルテ制作の支援、などにおいて役立つことが期待されています。※1
特に日本では高齢化が進み、医師不足も課題になっている中、こういった生成AIによる業務の補助は非常に医療業界の業務負担の軽減に貢献するでしょう。

※1 参考文献:ヘルスケア領域における生成AI活用事例 ーボストンコンサルティンググループ公式HP

また、身近な例として「STITCH FIX」という数千点におよぶオンラインカタログの商品説明文をAIで作成することを可能にしたツールがあります。30分で1万件の説明文を書くことが可能でコンテンツ制作コストを削減でき、SEO(検索エンジンへの最適化)を意識した文章の作成も可能にしています。 具体的にはウィンタースポーツメーカーとして有名な「Burton」のECサイトでは、このツールを活用してカスタマイズした商品説明の文章を用意しています。コアなファン向けの自社ECサイトと、一般消費者向けのAmazonサイトで文章を変えているそうです。

3. MCD AI Studioの特徴|幅広い産業知見と技術力によるカスタムソリューションの提供

―MCD AI Studioの具体的な取り組み

AI Studioでは、各企業のニーズに対応し、生成AI活用方法を模索するためのコンサルティング、ワークショップなどを通じたアイデアの具体化から、安心安全に生成AIを活用できる環境の構築・実装用途に応じたカスタム型のアプリケーション開発まで対応が可能です。

―具体的な取り組みについて教えてください。
鹿野さん「具体的には、MCDの親会社である三菱商事株式会社と、同社に蓄積された多種多様な人事関連データを分析しやすくするためのデータの分類・タグ付け(アノテーション)にLLM(大規模言語モデル)を活用する取組み、及び同社が有する産業知見を基にした各業界の様々な業務効率化を実現するLLM活用サービスの開発支援を開始しています。今後も順次、他業界向けにも取組みを拡大していく予定です」

―「Tachyon生成AI」について

今回リリースした「Tachyon生成AI」について詳しく教えてください。
「Tachyon生成AIに関しては、Chat機能を活用したものと特定の業務に特化した活用の2パターンの両方を想定して開発しています。 Chat機能に関連するものを基本機能として提供し、Chat機能の他にテンプレート機能、ファイルの要約やQA機能など、すべての社員が通常業務で利用する機能となります。 特定業務に特化した機能としては、社内の特定部署における問い合わせ業務の代行、帳票データの読み取りからシステム連携までシームレスにできるOCR機能、アンケート分析機能など、お客さんの業務に組み込まれた形での利用を想定しています」

Tachyon生成AIの機能一覧

―AI Studioと生成AIプロダクト開発の連携はどのように進められていますか?
「AI Studioとプロダクト開発は連動しており、基本機能の開発→お客さん利用→課題抽出→AI Studioでのコンサルティング→プロダクトへの機能追加という流れを考えています。  まずはChat機能を業務の中で使って、生成AIがどういうものかを感じながら業務効率化に取り組んでいただき、その中で発生する課題やニーズをAI Studioで吸い上げ、その結果をプロダクトに反映するというサイクルでプロダクト開発を進めています」

4. MCD AI Studio がもたらす価値

―MCDのAI Studioだから実現できること

―AI Studioが他のAI組織と違うところはどんな点ですか?
鹿野さん「三菱商事(MC)グループが持つ『生成AIを活用して業務を効率化したい』という問い合わせや、その様々な産業の課題やニーズをAI Studioでも拾えるようにしています。  多種多様な業務課題に触れることができるので、どんな生成AIの要望に対しても、最適案を出せるパワーが我々にはあると思っています。多様な業界のニーズに応じた開発を進めていく上で、産業をまたぐ汎用的な知見が集約されていきます。そのため、失敗のリスクも最小限に抑えられます。さらに、提案スピードや施策の実行においても早く対応ができるところも我々の強みですね」

―MCDの実行スピードの早さは、Tachyon生成AIまでのリリースでも発揮されていたようですが、なぜ早く実行まで持っていけるのでしょうか。
「そうですね、2023年6月にAI Studioが立ち上がったものの、同年9月にはTachyon生成AIをリリースできました。 優秀なコンサルタント、ソフトウェアエンジニア、データサイエンティストが協力することで一気通貫して開発を行えたことが、今回の着手からリリースまでの早さにつながったと思っています」

―大事なのは長く継続的に使われること

―企業での生成AIの活用が始まった後は、どのようにAI Studioは関与していきますか?
「生成AIの活用において最も大事なことは、実際の業務課題を解決しビジネスインパクトを創出することだと考えています。  ゆえに、我々は短期的なゴールと長期的なゴールを設定し、そのバランスを取りながらプロジェクト設計をするようにしていますし、それができるのも我々の組織の特徴です」

5. まとめ|MCD AI Studioの役割と将来展望

―AI Studioは社会に対して、どんな存在でありたいと考えていますか?
鹿野さん「『生成AIに困ったら』まずは最初に声をかけてもらえるような存在になりたいですね。生成AIに限らず、AIの技術を使ってビジネス改革を起こしたいと考えている人たちから、頼られるようになっていけるとよいなと」

―AI Studioの将来展望もぜひ教えてください。
「生成AIを使って、夢は大きく、ではないですが、何かを改革したという実績をたくさん作っていきたいです。  それから今後は、日本だけでなく、海外の企業でも、AI Studioが作った技術がスタンダードになっていけるよう、これからも様々な企業課題に取り組んでいこうと思います」

―AI Studioの組織としても拡大を目指していますか?
「そうですね、すでにいくつかの案件に取り組ませていただいていますが、これから案件数はもっと増えていく予定です。なので、組織も拡大していきますし、コンサルタントやデータサイエンティストの仲間も増やしていきたいなと思ってます」

―鹿野さん、ありがとうございました!




今回は、MCD AI Studioについてご紹介させていただきました。AI Studioの取り組みや組織に興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
https://www.mcdigital.jp/careers/
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Atsushi Kato

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自己紹介 23卒の新卒で入社した加藤です。ソフトウェアエンジニアとしてWebアプリやTeamsアプリの開発をしています。 本記事のゴール Microsoft Team上で動く対話型のアプリであるTeams

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