CASE STUDY

鉱山の現場における
オペレーション改善プロジェクト

生産効率の改善を目的としたトラック台数最適化の取り組み

Project Year: 2021

課題

鉱山の現場では、鉱物資源の採掘と運搬において複雑なオペレーションが行われています。

まず、鉱物資源を採掘する採掘場で、採掘機が採掘作業を行います。その後、トラックに採掘物を積み込みます。トラックは、採掘物を採掘場から積み下ろし場まで運搬し、そこで積み下ろし作業を行います。運搬が完了したら、再び採掘物を受け取るために採掘場に戻ります。このように、採掘機とトラックの作業を繰り返すことによって、採掘は行われています。

効率的な採掘を実現するためには、トラックの台数が重要です。 例えば、採掘場でトラックが待機していないと、採掘機は採掘物をトラックへ積み下ろすことができず、作業が停止してしまいます。逆に、複数のトラックが待機していると、トラックは採掘物を受け取るまで待たなければならなくなります。

こういったように、鉱山の現場では、非効率的なトラックの配車により機会損失が生じているという課題がありました。

課題解決に向けたアプローチ

採掘物の生産量を予測するモデルを構築し、そのモデルの出力値を利用して生産効率を最大化させるという 2 段階のアプローチでこの課題に取り組みました。

生産量予測モデル

  • 「トラックが採掘機と積み下ろし場を往復する時間」と「採掘機がトラックに採掘物を積み込む時間」を計算し、その結果を待ち行列理論に入力して生産量を予測しました
  • また、機械学習を利用して生産量予測モデルの出力値と実測値の誤差を補正するモデルを構築し、それを生産量予測モデルに組み合わせました。これにより、数理モデルと機械学習を組み合わせた、より精度の高いモデルを構築することができました

生産効率の最大化

  • 更に生産効率の最大化を目指し、トラックの台数を算出するアルゴリズムを構築しました
  • 生産量予測モデルの出力結果から「トラックあたりの生産量」を割り出し、最適化問題を解く際に有効なアルゴリズムの一種である貪欲法を用いて、最大となる場合のトラックの台数を算出しました

活用データ

  • 生産量のデータ
  • 採掘機やトラックの作業に関するデータ

効果

  • とある期間における、生産量とコストの「最適化結果を実績値で割った値」を日毎に算出し、箱ひげ図としてプロットすると以下のような結果になりました

  • ほぼ全ての期間において、実績値と比較した場合に生産量が増加(1 以上)、コストが減少(1 以下)することが明らかになりました
  • また、期間全体で見ると、生産量を 9%向上させるのと同時に、コストを 5%削減できる可能性があることが分かりました
  • 現在、実用化の可能性や、他の資源採掘の現場への応用等の検討を進めています
案件担当者

植松 良文

中田 勇介